家族構成 | 夫婦・お子さま4人 |
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施工エリア | 愛知県瀬戸市 |
建物概要 | 平屋 |
敷地面積 | 100坪~ |
延床面積 | 35~40坪 |
舞台は愛知県瀬戸市。のどかな自然に囲まれたこの地で、どのような暮らしをされているのでしょうか。
目次
家族と適度な距離感でつながる大空間リビング。
家族がいつでも集いやすいよう、大空間のリビングを中心に各部屋につながる間取りです。それぞれが別のことをしていても、お互いの気配を心地よく感じられる、居心地の良いリビングにしたいという、ご夫婦の願いをかたちにしました。
ご主人のお気に入りの場所は、ダイニングテーブルの一席。右には中庭とその奥に生い茂った草木。左には玄関ガラスドアの向こうに山が見えます。ゆっくり休みたい時は、大型のクッションをリビングの中央に持ってきて埋もれているんだとか。
豊かな自然を臨むキッチン
キッチンからの眺めは奥さまのお気に入り。「小さくてもいいからキッチンに窓が欲しいと話しましたが、ここまで広々とした窓にしていただけるとは思っていませんでした。」窓から四季折々の自然が見られるため、とても癒やされます。
キッチンの背後のパントリーは大容量で使い勝手もよく、出入りもしやすい設計に。「ストックの食品関連はもちろん、たまに使うお鍋やホットプレート、手作りの果実酒など、大きめのキッチン用具や容器などを置いておくのに重宝しています。」
子どもたちがのびのび過ごすことができる家づくり
「我が家には子どもが四人います。土地探しや家づくりでこだわったのは、いかに子どもたちがのびのびと暮らせるかという点でした。」そうお施主さまが目指したように、おうちの各所に子どもたちが楽しんで暮らすことのできる工夫がされています。
ロフトへとつながる階段は本棚でもあり、読書をするためのスペースにもなっています。お子さまたちは、それぞれ好きな本を選んでここで読書を楽しんでいるそうです。
そして階段の上にはロフトがあり、吹き抜けのリビングと繋がっています。子どもたちの遊び場としても、物置としても活躍しているとのこと。
リビングからそのままつながったような土間は、お子さまが壁にお絵描きしたり、工作や粘土などを自由に楽しんでもらうためのスペースでしたが、今では小さなお店として使われています。
外部と内部の境界をつくらない、ひらかれた外観
家族だけでなく地域コミュニティと共に生活していきたい、というご夫婦の想いを実現するべく、外観にもこだわりました。玄関のガラスドアを含む四枚の引戸が、そして中庭と面した壁には大きな窓があるのが印象的です。
ご主人はこう話します。「夫婦二人で子ども四人を育てることは、普通に考えて難しいものだと割り切り、親族や地域の方たちにもご協力いただき、みなさんに育ててもらおうと考えました。セキュリティ性を重視するのであれば、きっと違った家になっていると思います。あえて外部と内部の境界をしっかり線引きしないような造りが私たちは気に入っています。」
「ご近所さんがふらっと来て玄関の前でひと休みしたくなるような、地域とつながれるような場になってほしいですね。」
地域にひらかれた家にしようと思われたのは、ある建築家の存在が影響しています。「手塚建築研究所さんという、建築家のご夫婦が手がけた事例をたまたま見る機会がありました。家屋の他にも、学校・保育園・教会など様々ですが、どれも一般的には見られないような開放的でオープンな建築様式が特徴で、すごく素敵だと思いました。あえて用途を限定しない空間というものがつくられていることが多く、その建築思想に共感したんです。」と奥さま。
ネイエとの打ち合わせの中で、彼らの手がけた建築の一つに、屋根で食事のできるおうちがあるというお話で盛り上がりました。そこで設計士から「では、屋根に登れるお家にしませんか」と提案があったそう。安全面と建築法上の両方で問題がないよう、傾斜の角度が考慮されています。
小高い丘のような土地なので、屋根の上に登るといい景色が広がって気持ちいいのだとか。毎年9月には「せともの祭」という瀬戸市のお祭りがあり、夜には林の向こう側に花火が打ち上がるそうです。屋根の上に登れば何も遮るものがないため、最高の花火スポットにもなります。
日々を大切に生きること
奥さまが日々の生活や人生において根底にある価値観は、農耕や牧畜をベースとした自給自足生活で知られるアーミッシュに大きく影響を受けているそうです。
「彼らの、現代の文明ばかりに頼らず、自分たちで自分たちの生活をつくりあげる生き方に大きく感銘を受けました。自給自足の生活もそうですし、衣服はボロボロになるまで大切に使い続けることなど、日々を大切に生きている様子が素晴らしいと思ったんです。そして、私も生きていることの実感を得られるような暮らしに憧れるようになりました。」と語る奥さま。この価値観を根底とし、良いもの・お気に入りのものはできるだけ大切に使い続けたいという想いが醸成されていったようです。
玄関を入って正面に置かれているチェストは、転居前から使用しているご夫婦の思い入れの品。また、奥さまが子どもの頃からご実家に置いてあったピアノもご親族の思い出のつまった品です。これらをどうにか新居でも活用できないかとご相談いただき、設計士と共にどこに置くのがいいか検討し、間取りを提案しました。今では商品を置く棚として使っています。
最近、小さなお店(elamaa_seto)を始められたという奥さま。取り扱っているのは、ゼロウェイスト・プラスチックフリーをコンセプトとした量り売りと雑貨で、土間部分を利用して商品を陳列しています。息子さんが学校の課題の一つとして、海洋生物がプラスチックごみを食べてしまう問題に取り組んだことがきっかけでした。
「我が家で出る二週間分のプラごみを捨てずに集めてリビングの床に並べてみたところ、床一面が容器や包装のごみで埋め尽くされたことが私にはとてもショックでした。そこで、買い物のためだけに気軽にプラスチックを消費する習慣をやめ、環境に配慮した製品を生活に取り入れることで少しでも問題への解決につながらればいいと思い、人にも環境にもやさしい暮らしを目指すお店を始めようと思いました。」
アーミッシュの生活様式に影響を受けた、奥さまの暮らしに対する価値観がここにも垣間見え、日々の生活に対する想いが、今回の家づくりの随所に反映されているようです。
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