家族構成 ご夫婦
施工エリア 愛知県岡崎市
建物概要 二階建て
敷地面積 55坪~
延床面積 35~40坪
かつて暮らした街の記憶、これから積み重ねていく時間。家づくりとは、自分たちのルーツや「好きなもの」「心地よさ」を確かめ合う、旅のようなものかもしれません。

光と風を巧みに取り込みながら、細長い敷地に建つ住まいに暮らすのは、おいしい料理と穏やかな時間を愛するご夫婦。柔らかな光が差し込む二階のリビングで、そんなおふたりのお話を伺いました。

目次

    直感と出会い、そして「一目惚れ」の土地

    「最初は中古マンションも見ていたんです。でも、何かが違ったんですよね」そう語るご主人。以前は賃貸暮らしをされていましたが、家賃を払い続けるよりも自分たちの資産になる持ち家を、と考え始めたのが3年前のことでした。

    眺望の良い中古マンションも見学されましたが、「外でバーベキューがしたい」「土の匂いや風を感じたい」という、おふたりが根源的に求めていた暮らしのイメージとは、どこか重ならなかったそうです。

    そんな時、ふと訪れたのがneieのモデルハウスでした。玄関を一歩入った瞬間に感じた、芦野石の重厚感と木の香り。シンプルでありながら、細部まで研ぎ澄まされたデザイン。

    「かっこいいな、と。理屈抜きで感動してしまったんです」

    SNSやYouTubeで多くの建築に触れながら、自分たちの暮らしの輪郭を少しずつ確かめていたお二人でしたが、neieのモデルハウスが放つ空気感は別格だったといいます。

    ここでなら、自分たちのこだわりを形にできる―。中古リノベーションという選択肢が消え、新築への道が定まった瞬間でした。

    しかし、家づくりは土地がなければ始まりません。おふたりのご希望は、駅近でありながら家が密集しすぎない、ゆとりのある場所。土地探しは難航しましたが、建築士が偶然見つけたこの土地と出会います。

    「ここに来た瞬間、視界が抜けていて遠くの山々まで望むことができたのです」

    一般的には敬遠されがちな細長い土地。しかし、そこには視界を遮るものがなく、空へと続く“抜け”がありました。ご主人はその光景に「ここだ」と一目惚れをしたそうです。
    以前から「縦長の土地ではこんなプランができる」と建築士に聞いていたこともあり、そこに建つ家の姿は、ごく自然に思い描くことができました。

    2階リビングという選択、移ろう光の芸術

    この住まいの大きな特徴は、2階に配置された開放的なLDKです。
    「実家が2階リビングで、その明るさや景色の良さを知っていたので」と奥さま。外からの視線をかわしながら、光を最大限に取り込むために、2階リビングはぴったりのプランでした。

    階段を上がると、視界がぱっとひらけます。遠くに見える山々、青空。室内には一日を通して様々な表情の光が入るように計算されています。

    「冬の朝が好きなんです」とご主人。
    まだ冷たい空気の残る朝、窓を開けてコーヒーを淹れるひととき。低く差し込む朝日が、無垢の床に長い影を落とします。

    奥さまのお気に入りは夕暮れ時。「西日が壁に当たって、キッチンまでオレンジ色に染まるんです」
    その光の中で料理をする時間が、何よりの楽しみだそう。

    料理とお酒が共通の趣味であるお二人にとって、キッチンは暮らしの中心です。「二人で立っても余裕があるように」と広めに設計されたキッチンカウンター。週末にはここで並んで料理を楽しむことも。

    窓は壁の中に完全に引き込める全開口サッシ。気候の良い季節には窓を開けて、外のデッキで美味しい食事をお酒と共に、二人で味わうこともあるそうです。

    季節によって変わる太陽の角度、時間によって変わる光の色。それらを美しく受け止める「白いキャンバス」のような空間を作り上げることで、暮らしの中に、自然の移ろいを取り込んでいます。

    余白のある暮らしと、愛すべきものたち

    この家には、心地よい“余白”があります。「最初からすべてを決めすぎないようにしました。住んでから足していけばいい、という感覚で」

    その言葉通り、室内にはお気に入りの家具や調度品が、まるで以前からそこにあったかのように馴染んでいます。
    ダイニングの中心にあるのは、飛騨の日進木工のテーブルと椅子。結婚当初から使っていた二脚に、家を建ててからさらに二脚を買い足しました。飛騨出身の奥様にとっても、馴染み深い木の温もりです。

    その上には、ルイスポールセンの照明が柔らかい光を落とします。「夜は明るすぎないのが好き」というおふたりのために、ダウンライトは最小限に抑え、間接照明とスタンドライトで陰影を楽しむ設計としました。

    そして、リビングの一角にある一段下がった“おこもりスペース”。ここには、山形緞通(やまがただんつう)にオーダーした絨毯が敷き込まれています。

    「ゴロゴロしながら本を読んだり、プロジェクターで映画を見たり。大人のための、床でくつろぐ贅沢な空間です」

    同じ空間にいながら、奥さまはこのスペースで読書を、ご主人はダイニングで仕事を。それぞれの気配を感じつつも、ほどよく距離感を保って過ごせます。

    また、リモートワークにも対応し、おふたりそれぞれが集中できる居場所も設けています。

    家全体が緩やかにつながる回遊性のある間取りは、機能だけにとどまらず、心地よい距離まで設計しました。

    同じ景色を見ていた、建築士との濃密な時間

    「打ち合わせが、毎回本当に楽しみでした」おふたりは口を揃えてそう振り返ります。

    neieとの家づくりは、最初から建築士と話をします。「家」という共通の趣味を持つ仲間同士が、より良い作品を作るために語り合っているかのような時間となったそうです。

    おふたりの好みや価値観は似ていますが、それでも細かい要望をすり合わせ、自分たちの軸を明確にしてから建築士に伝える。その熱量に対して、建築士もまた、丁寧に向き合いながら提案を重ねていきました。

    印象的だったのは、庭の植栽選び。三重県鈴鹿市の農園まで足を運び、建築士たちと一緒に「この枝ぶりがいい!」「こっちも素敵だ」と山採れの樹木を見て回ったそうです。

    「私たちよりも皆さんのほうが楽しそうで。とても楽しいひとときでした」

    アプローチをあえて長く取り、玄関までの道のりで四季を感じられるようにした庭。自分たちで選んだ木々が植えられたその風景を見るたびに、家づくりの思い出が蘇ります。

    未完成を楽しむ、これからの日々

    引き渡しから1年。点検に訪れるたびに、家の表情は少しずつ変化しているといいます。ある時は階段に素敵な暖簾が掛かったり。ある時は新しい民藝の器が棚に並んだり。

    「この家には余白があるから、その時々の自分たちの興味や好きなものを受け止めてくれるんです」

    床の無垢材が飴色に変わり、庭の木々が枝を伸ばすように、暮らしもまた、味わいを増していくはずです。

    「家を建てる」ということは、家が完成して終わりではなく、これから時間を重ねていくための場所をつくることなのかもしれません。光と風、愛着のある道具たちに囲まれて。お二人の豊かな物語は、まだ始まったばかりです。

    Share on :
    Back to List