美しい陰影と住まう
家族構成 | ご夫婦 |
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施工エリア | 愛知県 |
建物概要 | 二階建て |
敷地面積 | 55坪~ |
延床面積 | 35~40坪 |
目次
四季を感じられる光と影
「私たちが思い描く家に住みたいというのが昔からの夢だった。」と話すお施主さま。土地探しからスタートしていたところ、ふと住宅雑誌に目が留まり、ネイエを知ったそう。その後、名東区や熱田区のモデルハウスに足を運んだり、完成見学会にも参加したそうです。
「当初は他の設計事務所も選択肢のひとつとして考えていました。しかし、ネイエがつくり出す美しい雰囲気と共に、設計士さんとお話ししたときに、私たちの意見を汲み取り、一緒に家づくりをさせてもらえると思ったのが決め手です」と奥さまが話してくれました。
暮らす上で大切にしたかったことは、周りの視線を気にすることなく開放感のある暮らし。カーテンを閉めて暮らすのではなく、自然の光を存分に感じながら、自由に暮らしたいと希望していました。
そこで、設計士が考えたのが“中庭を中心とした美術館のような空間”。外に向かって大きな窓を設けるのではなく、四方から光が入る中庭をつくることで、周りの目を気にすることなく、光と共に1日を過ごすことができるのではと提案しました。
奥さまは言います。「設計士さんと一緒になって色々と相談しながら楽しく家づくりをしたのが思い出。その中でも、ガラス張りで中庭を囲んだ空間という図面を見た時に、私たちの想像を超えた斬新さと、その暮らしを頭の中でイメージした時にとても感動したのを今でも覚えています」
爽やかな風と柔らかな光と影が玄関やリビングへ広がり、新たな葉が芽吹く季節の春。
燦々と降り注ぐ太陽に反射したキラキラと輝く葉が印象的な夏。
木々の葉が色づき始め、太陽の光の影が少し伸びる秋。
葉が落ち始め、それが儚さと美しさへと惹かれる冬の季節―。
「中庭を取り入れたことで、四季の移り変わりや、光と影のバランスなどを感じることができました。」とお施主さま。
「この家と出会う前は、季節によって光の雰囲気が違うことを知りませんでした。家づくりを始めた時に“北の光は柔らかい”という言葉が好きな小説に書いてあり、実際にリビングの光を見て、あぁ、そういうことかと体感しました。時間によって太陽の向きが変わり、角度も変わります。日々、光を感じながら生活できていることが、最高の贅沢です。」
経年を愉しむ北欧家具と共に
「北欧家具をいかした空間」も家づくりにおいて大切にしたかったそう。玄関周りの主役は、1959年にNils Jonsson(ニールス・ヨンソン)がデザインしたヴィンテージのサイドボード。奥さまがフィンランドやスウェーデンなどの北欧旅行が好きで昔から北欧家具や器を集めており、サイドボードはそのひとつです。
このサイドボードを中心に、壁のサイズ、奥行きなど全体を考慮し玄関を設計しました。暮らしを感じさせない美術館のような空間は、デザイン性はもちろん機能性を兼ね備えています。
玄関周りは、靴やカバン、小物類が散乱し、どうしても生活感が出てしまいます。しかし、後ろの壁面に収納棚を設けたことで、見た目もスッキリ。回遊性を持たせた動線にもなっているので、日々の暮らしもスムーズです。天窓からこぼれる光も印象的です。
チーク材の床が印象的なリビングには、Hans J Wegner(ハンス・J・ウェグナー)のYチェアが置かれています。床の色とも調和したチークのYチェアは、2022年の生誕記念モデルだそう。
「テーブルやソファ、照明を置きたいというのを設計士さんに事前に伝えて、そのサイズでつくっていただきました」とご主人。
ご主人のお気に入りはリビングにある、Kai Kristiansen(カイ・クリスチャンセン)のペーパーナイフソファ。
ご主人の書斎がある2階には、Serge Mouille(セルジュ・ムーユ)の照明や、Hans J Wegner(ハンス・J・ウェグナー)のヴィンテージのソファも。好きな家具に囲まれた書斎で本を読んだり、仕事をしたり、ゆったりとした時間を過ごしています。
「北欧家具は長く愛され続けるモノ。北欧家具の経年変化を感じながら暮らしていきたいです。」
お気に入りの場所で過ごす時間
料理が好きな奥さま。だからこそ、キッチンは動線と収納にとことんこだわりました。キッチンは、回遊性のある広々としたアイランドキッチン。リビングとのつながりを意識した間取りに仕上げ、床材のチーク材の色と合わせたデザインにもこだわりました。
冷蔵庫やレンジなどの家電はパントリーに収納したり、キッチン横にも収納を設けたことで、生活感を出さないような工夫をしました。
収納の奥には小さな書斎もあります。
キッチン下には大容量の収納スペースがあります。お気に入りの器が入るよう大きさを測るなど、たくさん話し合いを重ねながら今のかたちになりました。
「ガスもIHも両方良いなと思っていたので、両方つけてもらうことにしました。料理によって変えることができるのがとても嬉しいです。」と奥さま。
お気に入りの景色はリビングから眺める中庭の光、そこに見える玄関サイドボードや琥珀色の照明。特に好きな時間は日の入りする前の空が濃い青色に染まるブルーアワーの時間です。
「鏡に映りこむ中庭の植物を眺めながら歯磨きをするのもお気に入り。普段の生活で何気なく目に入る植物が癒しで、何気ない生活も特別な時間だなと感じています。」とご主人。
洗面室はモノを極力見せたくないため、扉をつけた設計にしています。あえて洗濯を干すスペースは設けず、ほぼ乾燥機で乾かしています。近くにあるウォークインクローゼットに収納することで、家事動線を考慮した間取りとなりました。
余白と美しさを大切に
美しさと共に「余白」も大切にするお施主さま。住まいのあちこちにアートを飾るような空間を取り入れたりと、全てを詰め込みすぎず余白を大切にするのがこの家の魅力。Hans J Wegner(ハンス・J・ウェグナー)のデイベッドが余白を引き立てています。
2階へと繋がる階段には花を飾ることができるような空間が。アートや花、植物で彩りを添えることができる場を設けることで、より暮らしが愉しくなります。
人間が最も美しいと感じる黄金比を意識した長方形を随所に取り入れたことが美しさにも繋がっています。
「もともと私たち夫婦は長方形という形が好き。長方形の美しさを住まいにもいかしたいと思いました。」
長方形の壁が印象的なリビングは、あえてテレビは置かずに、プロジェクターにしました。そして、天井のダウンライトは少なくし、トップライトや外からの光を漆喰の壁に反射させて、空間を“魅せる”ことで美しさも演出しています。
余白ある暮らしは心の余裕にもつながります。常にゆとりを持っておくことで、心落ち着く時間を過ごすことができます。
「この家に暮らして3年ほど。好きなモノに囲まれた空間と使いやすさ。どれもバランスが良く、休みの日も家で過ごす時間が増えました。」と嬉しそうに話してくれたのがとても印象的でした。